はじめに|赤ちゃんの食事、栄養バランスまで気が回らない…
息子の補完食を作りはじめて3か月。食事の回数も食べる量も増えてきて、毎食毎食準備するだけで手一杯の日々。
不足しがちな栄養を補わなきゃとは思うものの、1食ごとに毎回栄養バランスをチェックするのは難しいと実感しています。
とはいえ、細かい栄養計算まではできなくても、やっぱり子どもの食事栄養バランスは気になりますよね。
わが家ではWHOのガイドラインや補完食の入門本をもとに、赤ちゃんの補完食を手軽に整える4つの献立ポイントを実践してきました。この記事では、実際にこのポイントに沿ってつくった献立の栄養計算をし効果を検証しています。
大事にしたのは、ざっくりルールで毎日毎食つづけられるルールを見つけること。
毎日慌ただしく育児をがんばるママの、ヒントになればうれしいです。
補完食ってどんなもの?離乳食とは違うの?と思われた方は、WHOのガイドラインをもとに補完食の概要をわかりやすくまとめた記事がありますので、こちらもぜひご覧ください。

献立づくりの4つのポイント
わが家では献立作成の際、重さではなく冷凍ストックの容積(ml)で量を調整しています。
難しいカロリー計算や食品重量の記録は難しくても、冷凍ストックの容量を確認するだけなら簡単。ざっくりした指針があると献立作りも楽になります。
- 主菜は20%|動物性たんぱく質を意識
- 主食は40%|お粥やオートミールはなるべく’濃く’する
- 残りは野菜|いろんな種類と色を入れる
- 微量栄養素はちょい足しで補う|鉄・亜鉛・ヨウ素など
この比率は‘PFCバランス‘を意識したざっくり設計。赤ちゃんにとって大切な たんぱく質(P)と炭水化物(C)をしっかり摂りつつ、野菜や果物もまんべんなく入れられるので、わが家ではこのルールに落ち着きました。
PFCバランスとは?
食事に含まれる「たんぱく質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(Carbohydrate)」のエネルギー比率を示す指標です。赤ちゃんの補完食では、WHOのガイドラインを参考に
P 15%:F 40%:C 45%
が目安とされており、ミルクや母乳では不足しがちなたんぱく質などの栄養素を補うことが目的。
一般的な母乳やミルクのPFCバランスは「P 〜10%:F 約50%:C 約40%」なので、補完食ではたんぱく質を意識的に取り入れることが大切です。
それでは、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
① 主菜は20%|動物性たんぱく質を意識
WHOや厚生労働省の食事摂取基準における赤ちゃんの理想のPFCバランス(たんぱく質・脂質・炭水化物の比率)では、たんぱく質約15%が推奨されてます。一方、赤ちゃんの飲む母乳や粉ミルクに含まれるたんぱく質のエネルギー比率は10%以下。このため、食事でしっかりと補う必要のある栄養素です。
さらにたんぱく質の中でも、動物性たんぱく質(肉・魚・卵など)は吸収率が高く、鉄やビタミンB群も一緒に摂れる優秀な食材。このため、動物性たんぱく質はかならず1つ献立に組み込むことも意識しています。
赤身のお肉や魚、卵やレバーは初期から積極的に取り入れることで必要な栄養素の土台を整えやすくなるため、早めのアレルギーチェックがおすすめです。
わが家では生後5か月のうちに、卵黄・鶏ひき肉・豚ひき肉(赤身95%)・鶏レバー・まぐろ・ツナ缶などを試し、献立に組み込めるようにしました。ごっくん期に試すときは必ずブレンダーなどでペースト状にし、必要に応じて湯冷ましなどでのばしてくださいね。
下準備に手間がかかる鶏レバーは、使用頻度も少ないためわが家ではペースト状のパウチやパウダーにお世話になっています。こちらを買い置きしておくと、ストック切れの時にも使えて便利です。

② 主食は40%|お粥やオートミールはなるべく’濃く’する
主食は、赤ちゃんの体や脳を動かすためのエネルギー源。お米・パン・いも類・オートミールなどの炭水化物のことです。赤ちゃんの理想のPFCバランスにおける炭水化物のエネルギー比率は約45%で、ミルクや母乳にも同じくらいの割合で含まれています。
主食を準備する際のポイントは「水分で薄めすぎない」こと。
赤ちゃんの小さい胃では限られた量しか食べられないため、エネルギー密度(体積当たりのカロリーのこと)のが高い‘濃い’食事を食べることが重要と補完食ガイドラインにも書かれています。食事をはじめるまでの間は母乳や粉ミルクが栄養源だったことを考えると、少なくともミルクと同程度の濃さのエネルギー源が必要だと思います。
例えば10倍粥はお米の量に対して水分が多いため、カロリーは低いのに体積は大きい食べ物です。5倍粥くらいの濃度のお粥にすることで、ようやくエネルギー密度はミルクと同程度になります。
このため、私は最初の2週間ほどは5倍粥を少しだけお湯でのばした実質7倍粥程度のお粥を少量食べさせ、その後は5倍粥のまま食べられるようにしました。
これらを踏まえて、お米なら5倍粥、パンは水でなく豆乳でふやかす、いも類もペースト状にするために必要最低限の湯冷まししか加えない、などを意識しています。
いつもお世話になっているこちらのオートミールも、息子の月齢よりひとつ進んだ濃さで作って食べさせていましたが特に食べにくそうな様子はありませんでした。鉄や食物繊維も豊富で調理が簡単なので、こちらもおすすめです。
③ 残りは野菜|いろんな種類と色を入れる
野菜はビタミン・ミネラルの供給源として重要ですが、毎回栄養価を計算するのは現実的ではありません。そこでわが家では「1日にさまざまな色と種類の野菜を食べる」ことを意識しています。
野菜は種類によって含まれる栄養素が違うので、複数を組み合わせることで自然と栄養バランスが整います。
この場合、補完食用の野菜は1種類を少量ずつしか使わないため、一度アレルギーチェックをした野菜は大人のごはんに使った際に少し残しておく⇀時間のある時に野菜を蒸して(茹でても、レンチンしてもOK)、3種類ずつミックスして形状を整え冷凍ストックの流れ。
ごっくん期はブレンダーでペースト状、もぐもぐ期やかみかみ期はぶんぶんチョッパーでちょうどよい大きさにみじん切りにしていましたが、まとめて仕込むことで洗いものも減ります。
わが家ではバリエーションを担保するため、緑・黄・赤の3種類の野菜ミックスを常備することを目標にしています。(もちろん、目標なのでできていない時もたくさんあります!笑)
緑は小松菜やほうれん草、黄はかぼちゃやにんじん、赤はトマトやパプリカをメインに、残り物の野菜と組み合わせ。ちなみにトマトは、生だと少し処理が大変なのでいつもトマトペーストを使っています。原材料はトマトのみなので、安心して使用できると思います。
また、野菜ストックが切れている日はフレーク野菜も便利です。店舗でもオンラインでもいろんな種類が販売されているので、いくつか買い置きと気持ちが楽ですよ。
④ 微量栄養素はちょい足しで補う|鉄・亜鉛・ヨウ素など
最後に、鉄・亜鉛・ヨウ素などの微量栄養素に関してです。
微量栄養素とは、体に必要な量は少ないけれど成長や代謝に欠かせないビタミンやミネラルのことを指します。
中でも、補完食で最も不足しやすい栄養素のひとつが鉄分です。WHOも「6か月以降の鉄分補給の強化は必須」としています。鉄は体に酸素を運ぶ役割を持ち、赤ちゃんの脳や体の発達、免疫力にも関わる大切なミネラルです。
母乳やミルクをしっかり飲んでいる赤ちゃんでも、これだけの鉄が不足してしまいます。

とはいえ、「微量栄養素」という名前の通り、必要な量はとっても微量。そして各食品に含まれる栄養素の量も微量なのが難しいところ。鉄だけ、亜鉛だけを完璧に補おうとしても、なかなか難しいのが実情です。
そして、①の動物性たんぱく質摂取を意識していれば、自然とヘム鉄を多く含む食材(鶏レバー、赤身肉、青魚など)を摂ることができます。そのため、わが家では日によって以下のような「ちょい足し食材」を使って栄養を補い、さらに風味のバリエーションを出すようにしていました。
- 鶏レバーパウダー
- 鉄強化コンソメなどの調味料
- きなこ/豆腐/納豆などの大豆製品
- 海苔(ふりかけタイプ)
下の栄養価チェックでもわかりますが、鉄を毎日十分量準備するのは至難の業です。気にしすぎると疲れてしまうので、できる時に無理なく少しずつ、何よりもずっと続けることを大事にしています。
(一生懸命つくっても、食べてくれないこともありますからね!)
ちょい足しに便利な買い置き食材をまとめた記事はこちら。いくつか家にストックしておくと安心です。

4ポイントを意識してつくった1日献立の栄養価チェック
上記の4つのポイントを踏まえて準備した、生後7か月の朝昼晩3回食の献立がこちらです。この日うまくタイミングが合ったようで、手づかみ食べのバナナ以外は完食でした。(バナナはつるつる滑らせながら、1/2本くらいは食べてくれたかなと思いますので1/2本で計算しています)
食材の内訳については、細かい情報なので記事の最後に添付しています。もしご興味があればご確認ください。

PFCバランスチェック
まずは、PFCバランスを計算した結果です。
なんと、推奨量の「P 15%:F 40%:C 45%」にほぼぴったり!いつも計算しているわけではないので、私も驚きです。ちなみに、脂質はミルクや母乳にたくさん含まれているため、補完食では少な目でOK。この点も理想的なバランスでした。
単位:% | たんぱく質 P | 脂質 F | 炭水化物 C |
朝ごはん | 11.7 | 29.0 | 59.3 |
昼ごはん | 13.2 | 37.4 | 49.4 |
夕ごはん | 20.1 | 35.3 | 44.6 |
1日合計 | 15.0 | 34.1 | 50.9 |
微量栄養素チェック(鉄・亜鉛・カルシウム)
次に不足しがちな微量栄養素である鉄・亜鉛・カルシウムについてもまとめてみました。
こちらも、ギリギリですがすべて推奨量をクリアしていて驚き。ミルクの栄養価に関しては、息子の最近の1日哺乳量の平均値である650mlで算出しています。
単位:mg | 鉄 | 亜鉛 | カルシウム |
食事 | 4.9 | 2.2 | 182 |
ミルク | 5.0 | 3.0 | 350 |
1日合計 | 9.9 | 5.2 | 532 |
推奨量 | 9.3 | 4.1 | 500 |
ただし、栄養素には実は吸収効率という概念があります。上記は食材に「含まれる」栄養素ですが、これらは体に取り込まれてはじめて「使える」栄養になります。
たとえば、鉄には肉や魚に多い「ヘム鉄」と、野菜や豆に多い「非ヘム鉄」があり、吸収される割合がそれぞれ異なります。ヘム鉄は吸収率が10~20%なのに対して、非ヘム鉄は2~5%と低く、摂取してもそのまま体内で使えるわけではないのです。
このように吸収効率を考慮すると、鉄・亜鉛・カルシウムは限られた量しか身体に吸収されません。このため含有量だけで安心せず、気づいたらちょい足しする意識がとても重要なんです。
まとめ|完璧は無理でも、ざっくりルールで安心できる献立づくりを
ゆるーく栄養バランスを整える4つのポイント、いかがでしたでしょうか。
今回記事を書くために詳細な栄養計算をしてみましたが、想定よりも栄養バランスが整っていて私もびっくりしています。アレルギーチェックがひと通り終わった生後6か月ごろからは毎食4つのポイントを意識してきたので、息子に栄養バランスの整った食事を準備できていたならとてもうれしいなと思います。
毎食食材を測って、栄養価を計算して、栄養バランスの整った献立をつくる。もし簡単にできるならぜひやりたいのですが、毎日仕事や家事、育児に追われるわが家では正直難しく、細かく栄養チェックをしている時間があるならば他にやりたいことがたくさんあるのが本音です。
そんな時、冷凍ストックの大きさをもとにした目分量の「主菜20%・主食40%・残りは野菜いろいろ。最後にちょい足し」のルールはとっても便利です。この記事でも検証した通り、完ぺきな栄養バランスは難しくてもざっくりしたバランスは整えられます。
毎日何度も行う食事づくりにおいては、続けることが何より大事。大雑把でも軸があれば、献立を立てる気持ちのハードルも低くなる気がします。
無理なく気楽に、少しだけ栄養バランスのことも気にしながら、子どもの食事準備を一緒に楽しんでいきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事を書くために参考にした資料
WHO Guideline for complementary feeding of infants and young children 6-23 months of age/who.int *英語サイト
日本食品標準成分表 2020年版(八訂)
授乳・離乳のガイド (厚生労働省)/boshieiyou.org
関連記事|わが家の補完食・離乳食ログ
最後まで読んでいただきありがとうございました!
息子の補完食に関しては、月齢ごとにスケジュールや献立例、ミルクとのバランス、口腔発達の状況などを記事にまとめています。よろしければ、こちらも併せてご覧ください。
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おまけ|栄養計算用の食材内訳
※参考までに、栄養計算に使った食材の内訳はこちら。この記事を書くために一部計量しましたが、推計のものもあります
ごはん | 食材の内訳 |
朝ごはん(7:30) | ゆで卵:15g オートミール(乾燥):8g トマトペースト:5g キャベツ(ゆで):10g カリフラワー(ゆで):10g バナナ:40g |
昼ごはん(11:30) | 食パン:20g 豆乳:30g じゃがいも(ゆで):20g きなこ:1g 豚ひき肉(赤身):12g かぼちゃ(ゆで):10g にんじん(ゆで):10g 赤パプリカ(ゆで):5g |
夕ごはん(18:00) | 5倍粥:60g まぐろ(ゆで):20g 小松菜(ゆで):5g たまねぎ(ゆで):10g 大根(ゆで):10g 鶏レバーパウダー:1g ヨーグルト:30g キウイ:15g |
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